海外経験がない人には気が付くのが難しいと思います。
あるいはもし仮に海外在住経験があっても、現地の言語か、最低でもある程度の英語ができる人でないと、その理解は難しいと思います。
現地人との交わりも必要です。
世界の物差しで計った日本人は、かなり変わっています。
それは、日本ファン外国人の存在や、東日本大震災の時の日本人の姿を世界がどう評価したかに現れているのです。
それでも日本にいる普通の日本人には理解出来ないようです。
比べるものがないので、当たり前と言えば当たり前ですが…
それは世界でも稀に見る珍しさがあります。
120年ほど前に、新渡戸稲造という人が、“The Soul of Japan“という英語の本をニューヨークで出版しました。
新渡戸稲造は、5千円札に肖像画が出ていましたが、アメリカ人女性と結婚した明治時代の教育者、思想家です。
数多くの学校の校長や国際連盟事務次長なども務めた人です。
第一次世界大戦で勝利国だった日本は、代表国の一国として、パリ講和会議で人種的差別撤廃提案を提出しましたが、新渡戸稲造はそれにも関わっていました。
彼が出版した英語本の日本語訳である「武士道」は、その約10年後に出ました。
さらにはドイツ語、ポーランド語、フランス語、ノルウェー語、ハンガリー語、ロシア語、イタリア語などに翻訳されました。
その頃の日本は日露戦争にも勝っていたので、日本に対する世界の関心がとても高かったこともあって、ベストセラーになったそうです。
本の読者には、セオドア・ルーズベルト、ジョン・F・ケネディ大統領、ボーイスカウト創立者のロバート・ベーデン・パウエルなどがいたそうです。
セオドア・ルーズベルトはその本を何冊も購入して、自分の子供たちや側近に「読め!」と配ったそうです。
日本語訳の本のタイトルが「武士道」ですが、日本人のバックボーンに関する説明の本です。
日本人には、西洋人のキリスト教のように、人生に大きく影響するこれといった宗教はありません。
仏教があると思いますが、「あなたは仏教の信者ですか?」
と聞かれて、はっきりと「Yes..!」と答える人は、かなり少ないのではないでしょうか?
結果的に多くの人が無宗教だそうです。
宗教を持った人は普通、持っていない人よりも強く生きていけます。
信じるものがあるからです。
そして宗教は、必ず道徳を教えます。
これと言って宗教のない日本人の道徳精神が、どうしてこうも高いのかが「武士道」には述べられています。
その理由が武士道なのです。
武士の時代から続く、各家庭での躾です。
身を美しくする躾が日本人のバックボーンを作っています。
当時の武士の子供たちは、藩校で四書五経(ししょごきょう)を一生懸命勉強しました。
四書五経とは儒教の経典で、次のものをいいます。
四書:『大学』『中庸』『論語』『孟子』
五経:『易経』『書経』『詩経』『春秋』『礼記』
中国の学問です。
武士だけではなくて、町民も寺子屋で似たようにそれを勉強しました。
当時の日本の支配層である武士の階級は、やはりその他全ての階級が憧れるので、どうしてもそうなったようです。
つまり、日本人のバックボーンの多くは、中国から来た教えに基づいているのです。
中国から輸入したものは漢字だけではなく、人間のバックボーンとなる思想そのものでもあるわけです。
個人的には、武士道と同じくらいに影響を受けているのは仏教だと思います。
例えば、天に唾を吐くとどうなるか?
これは、四十二章経という仏教の経典から来ています。
お天道様がいつも見ている(から悪いことをするんじゃない、良いことをしなさい)は、後漢書という中国の歴史書から来ています。
他にも…
嘘をつかない
親を大事にする
食べ物を残さない
掃除(身の回りをきれいに)する
脱いだ靴を揃える…
私がフォローしているブロガーの1人に、
「幸せのこころとかたち」上田祥広さんという、仏教にとても詳しい人から知ったのですが…:
人生とは、開けたら閉める、出したらしまう、使ったら片付けるの繰り返し。私たちはついつい開けたら、開けたまま、出したら出したまま、使ったら使いっぱなしにしがちですが、仏法では、一回一回元に戻すことを教えられます。それは心を元に戻す訓練のためです。
だそうです。
これらの道徳教育と思われることを日本人は小さな子どもの頃から躾けられます。
ちなみに友人の中国人曰く、「中国の古い良い教えを忠実に守ったのが日本人」だそうです。
そして、「そういう良い教えがあったからと言って当時の中国の民度が高かったのではなく、その逆に民の質が低かったから、そういう良い教えがいくつも生まれた」そうです。
ご無沙汰しております。
このご意見はまさに❗️です。
外国人の考え方、思想、外から見た日本、そして中から見た日本(外から見たことがないとこれは分かりません)等だと思います。
喧嘩の仲裁に入る時、両方の意見をしっかり聞かないと正しい判断ができないのとよく似ています。
どれだけ本を読んでも、海外に行く事なく語学を極めても、残念ながら日本の立ち位置は見えて来ません。
どれだけ素晴らしい国に生まれても、どれだけ自分の国を誇りに思っても、実体験を持って客観的に自分の国を見ることができなければ井の中の蛙になってしまい、いづれは素晴らしくない国へと衰退するのだと思います。
根底にある武士道は私たちの誇りです。
でも上から目線で外を見るようになった瞬間から、本当の武士道は衰退を始めるのだと思います。
天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず、の精神もまた何処かに消えそうになっている。
外から見た日本をどれだけ説明しても、海外に住んで、その国の言葉で暮らした人にしか分からないのだと諦めております。
百聞は一見にしかず。
独自の文化を守り高めるためにも、外の世界をしっかりと体験する必要があると思います。
素晴らしさもダメなところもよく見えてきます。
納得しながら読ませていただきました。
偉そうな意見、失礼いたしました。
大変素晴らしいご意見を詳しくお聞かせいただきまして、誠にありがとうございます。ご同感いただけまして、とても嬉しく思います。