ドイツのいい加減な業者

夫婦でドイツに永住を決めたので、清水寺の舞台から飛び降りる覚悟で長~いローンを組んで家を買いました。

とは言っても、築40年以上の古い家です。

と聞くと、日本ではかなりのボロ家のように思われますが、さすがドイツ。

築100年は楽に持つと言われるだけあって、ボロボロのボロ屋とは違います。

そしてあれからもう10年以上経ちますが、古い作りなので居間とキッチンは隣り合わせで壁で仕切られています。

キッチンが、昔ながらのとても狭い作りだったのです。

キッチンで料理をしている人は、隣の居間との間にある壁のせいで、居間にいる人たちと会話が出来ません。

そこでオープンキッチン(キッチンin リビングルーム)だったらな~、何とかならないかな~、といつも思っていました。

そしてある日、フッと気が付いたことがありました。

台所の両側にあるシステムキッチンを、左右逆にしてそのまま居間の方に移せば、そのままオープンキッチンになるというアイデアです。

キッチンをそのまま居間に持って行ってしまうというものです。

うちのシステムキッチンは、台所と居間とを隔てた壁側に流しと調理台、そして収納棚があり、反対側は冷蔵庫とやはり収納棚です。

つまり、キッチンと居間を隔てた壁の中に上下水道の配管が埋まっています。

だから、もしその壁側に取り付けてあるシステムキッチンを、ひっくり返すように居間側に持って行き、台所の反対側のシステムキッチンも、居間のキッチンから遠い側に持って行くと、広いオープンキッチンの出来上がりとなるはずです。

キッチンの居間側とは反対側の壁の裏にあるのは、これまた狭い浴室でした。

もしキッチンを居間に移して、キッチンと浴室の間の壁を取り壊せば、システムキッチン及び広い浴室を一度に生み出すことが出来ます。

このアイデアが行けるかどうか、早速(ポーランド人の)業者さんに来てもらって確認してみるとOKとのこと。

やりました!

お客さん用の追加のWCも、新しい浴槽以外に追加のシャワーも生み出せそうです。

狭いキッチンを広いオープンキッチンにして家族団らんの場を設け、狭い浴室を広い浴室に生まれ変わらせ、追加のシャワーやWCを作れる一石三鳥以上のアイデアであることが判明しました。

でもこの世の中、万物に必ず長短共にあり。

短所は?

短所と言えば、その分少し居間が狭くなることと、お金がかかることです。

つまり、長所は多くても、短所が少ない...

お金の問題は頭が痛いですが、居間の広さは元々十分なので、その点は気になりません。

キッチンと背中合わせの居間の壁には元々何もありません。

そこにまず、壁の裏側にあるキッチンの流しを持って来た時に接続する上下水道を用意してもらいました。

その後に、キッチンを購入した所にお願いして、キッチンの移動をしてもらいました。

こうしてキッチンの移動はごくごく簡単に完成しました。

残るのはキッチンと浴室との間の壁を取り壊し、そこを大きな浴室に変えることですが、これは費用がかなりかかりそうなので、何年もの間しばらく放っておきました。

何年もの間、元キッチンのドアは締めっぱなしで、もしドアを開けて中を見れば、そこはいかにも工事中の様でした。

なぜなら、丁度うちに野球のバットサイズはある特大ハンマーがあったので、一部自分で壁を壊していたからです。

壊していたら、途中で配管が出て来たので「まずい…」と思ってやめたのでした。

そしてそうこうしている間に、その工事の費用を分割払いで行ってくれる業者さんが見つかったのでついに依頼したのですが、それが大きな間違いでした。

その業者さんを知ったのは、ある日本人の知人経由だったので、ある程度安心していました。

さらにはその業者さん、その工事に必要な3つの専門職である、Sanitär(浴槽、シャワー、洗面所の水周り関係)、Fliesenleger(タイル張り)、Elektriker(電気工事)の全てをこなすと言います。

これは幸いとすぐに依頼しました。見積もりは簡単に口頭で、約11.000ユーロとのことでした。

信用していたので相見積もりは取りませんでした。

そしていざ工事が始まったのですが、日が経つにつれて時々仕事におかしい点が現れ始めました。

専門家と言うわりには、どうも仕事が素人っぽいのです。

日曜大工が得意とはいえ、プロではない私が見ても、タイルの張り具合や仕上げが荒いのです。

極め付けは、浴室の床がそのままシャワーの床になる部分の仕上げでした。

浴室の床がそのままシャワーの床になるという意味は、古いタイプのシャワーの様に、シャワーの床の部分が極端に浅い浴槽のような感じのタイプではなく、スポーツ施設のシャワーのように、浴室の床に直に排水口が付いていて、シャワーから出る水は浴室の床をそのまま伝わって排水溝まで流れるタイプです。

浴槽の外側でも水をジャブジャブ流せる日本の浴室のような感覚です。

ドイツの一般の住居の浴室の床は普通そうなっていません。

床に防水処理を行っていないので、浴槽から水が流れ出すと床(=下の階の天井)に水が染み込み、下の階の天井から水がしたたり落ちて来てしまいます。

よって、浴室の床がそのままシャワーの床になるようにするには、床のタイルの下に完璧な防水処理が必要です。

今までに地下に水はまだ滴れていないようので、今回の業者さん、そういった防水処理は当然してくれていると願いますが、見つかった不具合は実はもっと幼稚なものなのです。

シャワーの水が浴室の床を伝わって排水口に流れるには、床がそれなりに排水溝に向かってゆるく傾斜していなければなりません。

ところがその傾斜が考慮されてなく、シャワーの水が何と排水口と反対の方、浴室全体に流れて行くのです。

つまり浴室が水だらけになってしまう、とんでもないミスです。

一番不服だったのは、せっかく自由に浴槽のタイプを選べるチャンスを失ったことです。

浴槽を新しく用意するので、どんな浴槽にするかを自由に選べたのです。

私は日本人にしては背が高い方なので、さすがのドイツの普通の浴槽でも、身体が全部お湯の中に入りきりません。

お湯に肩を沈めると、膝がお湯から出てしまい、膝をお湯に沈めるには肩が出てしまいます。

その解消法もないわけではありませんが(背が高くても、ドイツのお風呂で肩も膝もゆったりと湯船につかる方法)、今回のようなケースは、ちょっと長めな、肩も膝も含めて身体を全てお湯に浸けることができる浴槽を買って取り付けてもらう絶好のチャンスです。

ところがその業者さん、普通の浴槽を買って来てしまいました。

人生の中で数度も無いこんな絶好のチャンスなのに...

そこでまた日本人の悪い癖が出ました。

取り変えろと突っぱねるのも可哀そうだろう...

そしてその後のある晩に、電気がいきなりショートして真っ暗になりました。

その業者の所在地はうちの近くではなかったので、慌てて地元の電気屋さんに電話をすると幸運にもすぐに来てくれました。

調べてみてもらったところ、彼が改造したブレーカー周りの締めが甘くて緩んでいたことが分かりました。

当時の彼曰く、古い家なのでこの階にヒューズが僅か5つしかなく不十分だと言うのです。

それは前から既に知っていたので、それも改修してもらうことになったのですが、後で分かったのは、その古い5つのヒューズはそのまま残されて、リニューアルされたのはヒューズの周りのヒューズボックスだけだったのです。

何の為の電気改修工事??

そんないい加減な工事を続けてもらうわけにはいきません。

工事にストップをかけました。

工事は、彼の時間が空いた時に行うものだったので、毎月千ユーロづつの分割支払いも、既に五千ユーロに達していました。

支払いもストップしたので、彼はすぐに文句を言って来ましたが、放っておいて、地元の専門業者さんに見てもらいました。

すると、今まで彼が行った工事は、私が見てもその質を疑ってしまうほどであるだけあって、決して専門家の仕事ではないと言います。

しかもその見積もり金額は約五千ユーロ。

そこで思いついたのは、ドイツのSachverständigerという専門家です。

例えば事故車や中古車の価値、中古の不動産物件の価値を見積もったりする専門家がそれです。

浴室関係でも専門家がいるだろうと思って調べてみるといました。

早速コンタクトを取って来てもらい、査定してもらいました。その結果が出れば、彼に対して正式に抗議できます。

彼はその後もうるさく残金を払えと要求してきていたのです。仕事の30%位は終わってもいないのにです。

彼が正式に弁護士を経由して催促してくる前に、査定結果を欲しかったのですが、それがなかなか来ません。

査定士も彼の仕事のずさんさを指摘していたのですが、結果の書類が来なければ、それを表立って指摘できません。

結論を言うと、査定の結果は結局最後まで来ませんでした。

数十キロ離れた所からわざわざ査定に来て、ゆうに一時間は査定して帰ったでしょうか。

いい加減なのは業者だけではなくて、査定士も…

そして業者の彼からも、結局はその後全く連絡がありませんでした。

紹介してくれた日本人曰く、怖くなったのではないかと言うことです。

三種類の専門家として工事を請け負う場合、どれも正式な資格が必要です。

でも彼はどうやらその内の1つしか資格を持っていないようなのです。

そこでうちの浴室はいまだに中途半端に未完成のままです。

支払いに関しては、トータル的に見て損をしたのかどうかは不明です。

そう言えば以前、あるドイツ人の知人とドイツの業者さんについて話していた時、その人は言いました。

「昔の業者(職人)の仕事はしっかりしていた。朝早くから仕事を始めて(それは今のドイツも変わらず)、キチンとした仕事をして帰って行った。最近の連中ときたら、仕事はずさんだし、仕事がキチンと終わらなくても帰ってしまう」それって何となく日本も同じではないでしょうか?川崎

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カテゴリー: ドイツの暮らし, 住まいと暮らし
ドイツのいい加減な業者」への1件のコメント
  1. 佐藤庸子 より:

    うん、日本にも大手メーカーの積水はオレオレ詐偽のような軍団に
    してやられて、55億円もそんしているんですよね。

    大きいから、メジャーだからってわけじゃないみたい。

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