進化が示す、健康法則・言いたい欲が邪魔するコミュニケーション

誤解というものをなくすには、それだけ多く話し合うしかありません。「話せば分かる」とはよく言ったものです。そこで忘れてならないのは、人間には誰にでも「言いたい欲」があることです。その「言いたい欲」が、スムーズなコミュニケーションをしばしば妨げます。

ある2人の間で議論されている内容を詳しく聞いてまとめてみると、結局2人とも同じようなことを言っている、意味しているのにもかかわらず、どういうわけか、平行線の口論になってしまっていることを見かけたことがないでしょうか。

ほんのわずかな違い、というか表現が違うだけなのにむきになって言い争っているのです。

 

なぜそうなってしまうのでしょうか。それは、「言いたい欲」が邪魔をしているからです。

情報の発信者にとっては、ある情報を受信者に伝えることが目的です。

その目的を達成するための手段であるコミュニケーションの最中に、「言いたい欲」 に邪魔されて目的が入れ変わってしまいます。

また、相手の反応が自分の想像と違う場合に、何とかして思い通りにしてやろうと思ってしまいます。

子供を叱る時に求める返事もそれです。

何が何でも説得して同意を求めるのです。

そうなってしまうと議論に勝って、友やお客さんを失ってしまうことになりかねません。

それでは意味がないどころかまったく目的とは正反対になってしまっているのですが、実際にはそのようなことが意外と頻繁に行われていて、後でハッと気がついたりします。

 

通訳の仕事をしているとよく気が付くことがあります。

発信者が出す情報を、いかに正確に受信者に伝えるかが通訳にとって最も大切な仕事です。

そこで本来は、発信者は通訳を通して、自分が出す情報が受信側に正確に伝わっているかどうかが気になるはずなのですが、それを気にする人はめったにいません。

多くの情報発信者は、自分が伝えたい情報を通訳に話してしまうと、それでもう満足してしまうのです。

これも、発信者の言いたい欲が、通訳に伝わることによって満たされてしまうからではないでしょうか。

私の経験でも、発信する情報が通訳を通して受信者まできちんと伝わることまで気にした人は今までひとりしかいませんでした。

通訳を信じきってしまっているからでしょうか。通訳も人の子。会話を常に100%正確に伝えることは不可能です。

もしそれを続けて真剣に行っていると、通訳はあまりの緊張であっという間に疲れきってしまいます。

そこで通訳の質のレベルの差が出てきます。

通訳のレベルもピンキリですが、それはバイリンガルも一緒です。

一般にバイリンガルと聞くと、2ヶ国の母国語を自由自在に操るように思いがちですが、バイリンガルも人の子。普通、ひとつの母国語を覚えるところを、その倍の言語を100%マスターすることはできません。

国際舞台で同時通訳をこなすようなハイレベルの人たちは別としても、片方の母国語が例えば80%で、別な方は70%というレベルが精一杯です。

日本人両親の元で育つ日本語とドイツ語のバイリンガルの場合、どちらの言語もなまりなどが一切なく流暢に話せても、日本語の方は単語数が少なくて漢字に弱くなったり、ドイツ語の方も単語数が少なくて、例えば文化について深く語れないなどということがあります。

家庭でのドイツの文化のバックグラウンドがないからです。

 

さて、コミュニケーションには面と向かって話す方法、電話で相手の顔や様子がわからずに話す方法、そしてメールや手紙の文章による方法がありますが、当然どれも一長一短です。

昔の小学校では、手紙の一番最初に書く受け取り人の名前の後に「様」を付けるように教わりました。

最近、数人の友人、知人から、「様はやめて下さいよ(笑)!」と書かれてしまいました。「水臭いじゃないですか(笑)!」というわけです。

ですがそれは別にへりくだったりしているわけではなくて、昔そのように学校で習って以来の長い習慣で、自然にそうなってしまっているだけです。

 

面と向かってお話をする時を基準に考えると、電話の時にはそれより丁寧に話す。

そして手紙の時はそれよりもさらに丁寧に書く。

面と向かって話す時は、自分の言ったことに対する相手の反応を直接うかがえます。

表現や説明が不適切だったりして、もし相手が納得のいかない思いをすれば、相手の様子でそれが何となく分かります。

だから、すぐに謝る、訂正する、追加情報を与えるなどのフォローをすることができますが、これが電話となると相手の顔が見えないので、場合によってはまずいことを言ってしまったのに気がつかないなどということもあります。

そこで電話の場合は面と向かって話す時よりも、丁寧に話した方が良いというわけです。

さらに手紙の時には受取人に、差出人の口調や思い、雰囲気さえ分かりません。

本当に伝えたいことを、その雰囲気や気持ちまで文章で伝えようとすると、大変な文章の量になり、細心の注意も必要になり、文法などの文章の完成度の問題も出てきます。

もし人に何かを伝えようとする時に、仮にそれが話せば簡単なメッセージでも、文章にしようとすると大変な労力が必要なのはそのためです。

 

インターネットの普及で、知らない人同士が簡単につながるようになりましたが、トラブルも多発しているようです。

ひょっとしたら、最近の若い人たちの間では、それらの点で考慮が十分ではないのかもしれません。

昔の小学校で習った、手紙の最初の名前には様を付けるというのは、知り合いや友人関係の間では水臭いと思う人も多いのかもしれませんが、親しき仲にも礼儀ありです。

面と向かって話す時でも本当は要注意です。

時と場合によりますが、お互いに勘違いしていて、思ったことが全然伝わっていなかったということもあります。

日本人同士の面と向かった日本語でのコミュニケーションですらそうですから、例えばそれが英語によるドイツ人とのコミュニケーションとなると、果たして一体どのくらい本当に思ったことを正確に伝えることができるのでしょうか。

川崎

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カテゴリー: ドイツの暮らし, 医療と健康

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