東日本大震災の時、そのショッキングなインターネットの映像に毎日釘付けになった人は多いと思いますが、私もその1人でした。
その時に家内を経由して私に回って来たメールが現地の独日通訳のボランティア募集でした。
ドイツのレスキューチームのためなどに通訳を募集していたようでした。
うちの三人の子供たちはまだ比較的に小さく、「家内と子供三人をドイツに残して日本まで行って良いわけないでしょ…」と思いつつも、そのメールが家内から回って来たということは、行って良しのOKサインだと勝手に解釈して志願しました。
結果的には採用されませんでした。良く考えてみれば当たり前のことです。現地日本でいくらでも、すぐに来てくれる候補はいるはずです。
でもその時に採用されなかったことには失望を感じ、どうしたら採用されるかを考えてみました。
キーポイントになるのは、独日の会話能力だけではなく、例えばレスキューの技術などでしょうか。
独日の会話がこなせるだけでは不十分で、それ以外にも人を救える能力・技量、医学知識などが必要だと気が付きました。
そこでもし今後将来何か大きな天災が起こった時に頼られる存在になるにはまず医学。元々健康オタクで生物の身体の不思議には興味を持っています。
そしてドイツには西洋医学以外にも患者を治療することが国家試験により許されている自然療法士という存在があります。
デュッセルドルフにもその学校があり入学しました(只今休学中)。
色々な身体の不思議を知れる授業は時にはとても面白いものの、専門的過ぎて退屈な時もあります。
次に思いついたのはレスキュースイマーの資格。
DRLG というマークを見たことがあるでしょうか?
Deutsche Lebens Rettungs Gesellschaft という、ドイツで巨大な救助組織です。
組織が創立されて依頼、何らかの形で加わった人の数は何と今までに2千4百万人で、溺死から救ったケースは6万件。
子供の頃に泳ぎを覚えてしまえば良いのですが、そうでないと大人になってから夏の海水浴などで不幸な事故が起きてしまいます。
その資格は難易度によってブロンズ、シルバー、ゴールドに分かれていて、プールの監視員は普通シルバーを持っています。
12週間の(とは言っても週に一回)講習と実技を受けて最後に試験があります。
なんとか頑張ってゴールドまで取りましたが、競技水泳をしている人なら楽に取れるレベルです。
ブロンズからゴールドまで続けて3つ受けたので、人工呼吸ならお手のものです。
でもその人工呼吸、実は意外と曲者で、特に老人には注意が必要です。
人工呼吸の腕による心臓を勢いよく押す動作で肋骨が折れてしまうことがあるのです。
それが原因で死に至ることもあるのでことは深刻です。
その次は赤十字などでの救急車用救急処置の資格を狙っています。
そんなことをしていたら最近、子供が行く学校、ギムナジウムからレスキュースイマーのボランティア募集の連絡が父兄に回って来ました。
ドイツでも学校で水泳を教えますが、5年生、10歳くらいが一番危ないそうです。
間違いなく学校で水泳の授業があり、大人になってから泳げず溺れてしまうという危険を防ぐためか、子供の頃からプライベートで泳ぎを習わせる親もドイツでは少なくありません。
溺れた時に助ける監視員の役割は、2クラスで約60人の子供たちに水泳を教える2人の先生の補助になります。
2人の先生は教えることに専念し、溺れる子供がいないかを全体的に見るのが私の役目です。
大袈裟な… と思うかもしれませんが、もし誰かが本当に溺れた時は一秒を争うので気を抜けません。
一秒で溺死してしまうわけではありませんが、溺れに気が付き飛び込んでから到着するまでにどうしても数秒かかってしまいます。
だから目を離せません。確率は低くても、子供の命が自分の救助能力にかかっています。
実は私は小学校高学年の時に一度溺れかけたクラスメートの女の子を助けたことがあります。
その子は身障者だったのですが、その時はクラス全員でプールの中に入り、縁につかまってプールをグルグル回っていました。
先生がプールに入れた塩素をみんなでかき回していたのです。
フッと気がつくとその子が縁から少し離れた深い所でアップアップしているではありませんか。
慌てて近寄るともの凄い力でしがみつかれました。
まずい、このままだと2人とも溺れる…汗。
そこで意を決し、一度思い切って上に飛び出し、顔が空気に触れた瞬間にさっと深呼吸をして潜り、その子を持ち上げるようにしながらプールの縁に近ずいて何とか助かりました。
それにしても(ちょっと大袈裟に言えば)死に直面した女の子の力の凄さには驚きました。
そうです、レスキュースイマーで習う最も大事なことは、パニックに陥っている相手をどうやって助けるかです。
溺れる人数が倍になったのでは意味がありません。
ところでドイツには面白い法律があります。(日本にも?)
溺れた人を見つけた時に、泳げる健康人が助けに行かないと罰せられるのです。
しかしながらその反対に、救う側の安全が確保されていない場合は決して助けに出ないというのも鉄則です。
水泳は、子供のうちに覚えさせましょう!
「でも、ドイツ語じゃ〜…」
大丈夫です。デュッセルには日本人のための水泳教室があります!
http://www.netdeduessel.de/趣味習い事/スポーツ/子ども水泳教室/
川崎英一郎
あらまあ、senryusatoさんも泳ぎ達者なのですね…
痴漢は許しません!!プールに来ていた女性に「勇気あるわ、助かった」と
褒められました。
ゆっくりなら、いつまでも泳いでいられるなあ、前世は河童かも。
素晴らしい!
勇気は大切です。
善いことをするのにも勇気が必要ですが、ドイツ人と比べて日本人はそれが苦手のようです。
お写真のスーパーマンのTシャツは、制服ですか?個人的な趣味ですか。
勿論、ユーモアです!
さっそく反応する子供たちがいました…笑。
http://www.youmore.eu
3.11、死者、行方不明合わせて2万を超える震災から6年。こういうブログを外国から伝えて
下さっていることに本当に感謝します。ありがとうございます。
ドイツからレスキューに来たのは主に赤十字の関係で、どれもカッコいい、サポーターをつけた
災害救助犬シェパード連れの人が多かったように思います。もちろん医師、看護師などは無条件で
受け入れていました。
私もプールから出られなくなった「おじさん」と「肥満女性」を助けたことがあります。
二人とも水中であまりに頑張ってしまい、一気に浮力がなくなってしまうプールからでる
途中で動けなくなってしまってました。おじさんは軽くサポートしてやって楽でしたが
肥満女性は、160センチ130キロ位の巨漢。ものすごい重さでプールから出してやるのは至難
の技でした。
(秘密ですが)プールにはどさくさに紛れて、「痴漢」も出没します。
これは水の中に沈めてやりました。そしてプール監視員に通報。撃沈してやりました。