何かの修理のために、ドイツ人の電気屋さんや水道工事屋さんなどが自宅に上がることがたまにあります。
天気の悪い日などはその時に靴を脱いで入ってもらっているでしょうか、それともそのまま入ってもらい、汚れを後で拭いているでしょうか?
実は彼らは皆、安全靴という特殊な靴を履いています。
靴の裏に鉄板が入っていて、底から釘が刺さっても大丈夫だとか、つま先の上に重いものが落ちても足の指が潰れないとか、高熱や強い薬品に耐えるなどの特殊な構造になっています。
労災の関係もあって彼らにはそういう安全靴を履く義務があります。履いていないと事故が起きても労災でカバーされません。
その作り、構造、安全度により、S1、S2、S3などに分かれています。
ドイツの業者さんに、家に上がる時に靴を脱ぐことをお願いすると、脱いでくてる人と、脱いでくれない人がいます。
脱いでくれない人は、「もし何かあったら保険がおりないから…」などと言いますが、本気でそう考えている人もいれば、靴を脱ぐのが面倒臭いからの人もいるようです。
なぜなら2人に1人位は快く靴を脱いでくれる人がいるからです。
確率は勿論ゼロではないものの、家庭での何かの修理で安全靴の構造が必要とされることはまずありません。
さて今週、以前四回ほどにわたって通訳を目指す人の為に参考になればと思って書いたブログの出張先に再び来ています。
通訳も安全靴を履けと言われたのに、いつまでたっても私が自分で用意しないものだから、根負けした(?)相手が写真のような簡易安全靴を用意してくれていました(笑)。
来社のお客さん用に揃えたのか、サイズ別に何種類か用意してありました。私のゴネ勝ちです(笑)。
さてこれは何の安全のためのものでしょうか?
つま先の方が赤くなっていますが、もしあの辺りに重いものが落ちても、足の指が潰れないようになっています。
ゴネた理由はまず第一に、ここでの仕事中に足の指の上に重いものが落ちて来る確率は、飛行機が落ちる位の確率です(*)。
第二に、人一倍足が蒸れるので、そんな靴を履いた日には足がとんでもないことになってしまいます。
せっかく用意してくれてしかも社内の規則。そして蒸れそうにない構造。今回はお言葉に甘えてお借りしました。
でもこれって靴の上からつけるから、どうしても少し不安定です。指を守る長所より、不安定な短所の方がよっぽど大きいと思うのですが…
世の中こういうおかしなことが結構多いんです。
* 飛行機は必ず落ちる時がありますが、確率が低いから皆さん誰でも乗ります。
川崎英一郎