ドイツでは難民受け入れによって深刻な問題が生じて批判の声が勢いを増し、右翼の躍進が顕著になってきています。
しかし、なぜ難民が生まれ、増え続けるのか、根本的な問題についての報道と議論、そして政策が圧倒的に不足していると思わざるを得ません。
ISはイラク戦争の申し子であることは全世界が認めるところ。イラク戦争当時、国連の反対を無視して強引に戦争を仕掛け(悲しいかな恥ずかしいかな、日本はこれに追従)、最終的には主張した大量破壊兵器が存在せず、間違った戦争であったことを自ら認めたアメリカ(日本はいまだに認めていない)。
アメリカが戦争を遂行、拡大する限り、当地の人々は無人爆撃機によって無差別に殺され、街は廃墟と化し、さらにおぞましいことには戦争の後の復興利権が息のかかった企業に転がり込む。ショック・ドクトリン(惨事便乗型資本主義)である。そして欧州にはとめどなく難民が流れ込む。
そんなアメリカがまともな方向に変われば世界が変わることは確実。
それゆえに、今回のアメリカ大統領選挙は米国内の問題ではなく、世界中の問題と考えて差支えない。
アメリカは「民主化」を標榜してイラク、北アフリカ、中東はじめ世界中に軍事介入してきた。しかし、当のアメリカ国内の民主主義はどうなっているのだろうか。
ここで、ここまでお読みくださった読者に質問があります。
今回の大統領選挙、候補者の名前をご存知でしょうか?そもそも現在何名の候補者がいるのでしょうか?
ドナルド・トランプ、ヒラリー・クリントンの名前は誰の耳にも刷り込まれているはず。
他に候補者なんているのか?
そもそも民主党と共和党以外に政党があるのか?
私もつい先日までお恥ずかしながらそう思っていました。
実は、クリントンとトランプ、どちらに転んでも最悪・・・と大統領選のニュースは聞く気すらしなかったというのが正直なところ。
ところが、ある人から別の候補者の政策を聞いて衝撃を受け、希望の光を見つけた思いになりました。
現在アメリカ大統領選に立候補しているのは、上記2名のほかに、リバタリアン党のゲイリー・ジョンソン氏、緑の党のジル・シュタイン氏をはじめ、数えるのも嫌になるほど実に多くの候補者がいます。→こちらに全候補者が掲載されています。 しかし、調べるまではてっきりあの2人だけなのだと思い込んでいました。おそらく大半の方がそうでしょう。
ただし、大統領選挙ではballot accessといって投票用紙に候補者名を載せるために、各州でそれぞれ決められた要件を満たさなければならないそうで、50すべての州とワシントンDCでballot accessを得ているのはトランプ、クリントン、ジョンソンの3氏のみ、4番手のジル・シュタイン氏は40以上の州とワシントンDCでballot accessを得ています。
他の候補は立候補はしていても多くの州で投票用紙に名前が載らないことになります。
つまり、実質的には4名の候補者による大統領選挙となります。
ところが、本日始まった大統領候補者演説からはトランプとクリントン以外の候補者は締め出され、同じ土俵に上がることさえできないのです。このこと自体もおそらく報道されないでしょう。これで果たして民主主義の国と言えるのか疑問です。
当選可能性とは別に二大政党以外の考えを取り上げることは議論に別の視点を与えるという意味でも必要なことであり、何より史上最悪の嫌われ者同士と呼び名の高い2候補に辟易している人も多い中で、二大政党制自体の問題点にも光を当てる第三政党を排除するというのは大きな問題があります。
さて、私が注目しているのは緑の党のジル・シュタイン氏。ただし、当選可能性は限りなく低い。(現在支持率一桁、片手台。)
彼女の政策 Power to the People を読んでしびれました。
そして何より重要なのが、彼女と緑の党は企業からの寄付・献金を拒絶していること。個人による小口献金のみを受け付ける草の根の民主主義運動を掲げて実行しているのです。
Powered by People なのです。
周知の通り、現在の政治はPowered by Money, 大企業、多国籍企業、巨大コンツェルンによるコーポラティズム、強欲資本主義が問題になっています。企業群の利益が国家に優先する構造です。国家はスポンサーである企業に頭が上がらない・・・
あれ?国家は国民に属するのが民主主義じゃなかったの?と思いますが、それは美しい建前であって現実は羊頭狗肉。これはどの国でも事情は変わらないことは、昔から「ロビイスト」「圧力団体」という言葉があることからも明らかです。
それを変えられるのは、Powered by Peopleの人間と政党しかないでしょう、と思います。
少なくともトランプもヒラリーもPowered by Money の権化的存在であり、さらに困ることには2人とも非常にアグレッシブ。トランプは差別、憎悪をかきたてるひどい言葉を吐くことで有名ですが、ヒラリーはこれまでの政治活動で実際にそれらを行ってきたというゆるぎない実績を持っています。
「ヒラリー・クリントンは移民の国外退去政策を支持し、ホンジュラス出身の女性や子どもを含む難民の受け入れを拒否しました。ホンジュラスの難民危機は、同国の「企業クーデター」に始まった暴力が原因です。ヒラリー・クリントンはそのクーデターを支持したのですから、難民危機にも大いに責任があるのです」
「ドナルド・トランプは極端な政策を口にしますが、ヒラリー・クリントンはそれを実際に実行してきたのです」
ジル・シュタイン
以下にジル・シュタイン氏の政策のうち、特に個人的に驚いた項目に絞って抜粋、掲載します。
原文はこちら。
http://www.jill2016.com/platform
700以上の外国の米軍基地撤退。
→ 再生エネルギーと緑のインフラ開発の雇用へ
★イスラエル・パレスチナに関する米国の政策を転換、国際法、すべての人間の人権を最優先。パレスチナの人々に対するイスラエルの最悪の方針を支援してきた米国の政策を終わらせる。
★主権国家を破壊する軍事・経済的介入をやめる。
こうした介入は、その国の国民から奪った利権を多国籍企業とグローバル資本主義に確保させているのだから。
★巨大過ぎて潰せない銀行を解体、連邦準備制度の民主化
国内政策についても注目すべき内容が満載ですがここでは割愛します。
革命的な内容です。というか現在の米国を考えると革命そのものです。
上記の中で衝撃的なのは、イスラエルと米国自身を容赦なく「最悪」と批判し、米国の誤った戦争と強欲グローバル資本主義を断罪していること。素晴らしすぎるのですが、ここまではっきり明言しちゃっていいの?と逆に心配してしまいます。
戦争をやめるために、単に兵を退くだけでなく、資金源を断つということがまず重要であり、米国がこれまで裏で行ってきたテロ支援を断つということです。
そして、連邦準備制度についての言及。根源的な問題に光を当ててメスを入れる気合がみなぎっています。
唯一、戦争を終わらせる気がある候補、それがジル・シュタイン。その1点だけでも彼女に大統領になってほしいと願います。
ジル・シュタインと緑の党を支える草の根民主主義運動、これからの広がりを米国にとどまらず外からも心より応援し、注目したいと思います。
公式ページ
http://www.jill2016.com/
Facebookページ
https://www.facebook.com/drjillstein/
ASOBO! 山片
[…] 経由: アメリカが変われば世界が変わる~大統領選挙で報道されない大事なこと … […]
[…] アメリカが変われば世界が変わる~大統領選挙で報道されない大事なこと […]
そうなんですね。
しかし、唯一まともなことを言っているのに一番支持率が低いという事実。
これが「民主主義」というものなんだなあ、と思わざるを得ません。
このままトランプになってもヒラリーになっても戦争拡大の一途、日本も巻きこまれていくことは必定ではないでしょうか。
オバマの総括が必要ですね。
日本も必要ですが、短期間にころころ変わってきて、森さんみたいに仕事をする時間もなかったなんて人もいますが。
余談ですが、オバマはなぜか「オバマさん」とみなから「さん」づけで呼ばれるということをジャーナリストの堤未果が指摘していました。
マーケティングが上手なことの表れだそうです。
satoさんも「さん」づけしながら厳しい指摘をされているので思い出しました。
当時のオバマの大統領選は全米マーケティング大賞に選ばれたそうです。
Changeと連呼したが何がどう変わるのかは一切明言しなかった。
Yes, we canと連呼したがこれも同じ。
それで、すべての人がなんとなくchangeに淡い期待をし、何も変わらなかった。
ノーベル賞はいわくつき、完全に政治利用の道具となっていますね。
マハトマ・ガンジーはかたくなに受賞を拒否しましたが、やはりそれは正しかったのだなあとガンジーの偉大さを改めて思います。
緑の党は日本でも注目している人います。
大量破壊兵器をあると認めて、「なかった」ことを認めないアメリカにはもううんざりです。
オバマさんが広島に来たことは大きな歴史な一歩ではあっても、彼の実績は歴代
大統領のうち、下から数えた方がいいほど核兵器の廃絶、縮小に貢献していない。
評判だけ大きく、ノーベル平和受賞者としての実績は殆どないに等しいです。
どうか行動、実績共、ノーベル平和賞にふさわしい人であってほしいです。