昨日、デュッセルドルフのBlack Boxにて、映画「不思議なクニの憲法」が英語字幕付きで上映されました。
短い告知期間にも関わらず、全150席がほぼ満席、
そのうち何と4割以上がドイツ人をはじめ日本人以外の方だったことには大変驚かされました。
ボンからわざわざやって来てくれたドイツ人学生、熱心に質問されていた年配のドイツ人男性、
デュッセルドルフの芸術大学の学生、隣町デュイスブルクのギムナジウムからはたくさんの高校生が。
日本の憲法という、彼らにとってもっとも遠そうな題材にも関わらず、強い関心を持って遠くからも足を運んで観に来てくれるということに改めて政治意識、国際意識の高さを感じました。
「彼ら」という言葉を使いましたが、これにはかなり違和感があります。なんかよそもの、外部の人と言う感じがして。
「彼ら」ではなく「私たち」と思うのです。ましてや外国、日本の憲法についてこれほど高い関心を寄せてくれるのですから。
もちろん日本人もたくさん観に来られました。年配の方も、学生の方も、親子でいらした方も、ハイデルベルクから、オランダから、ベルギーからと、遠いところから来られた方も少なくありませんでした。
いらしてくださった方、ご協力いただいた方々、大変ありがとうございました!
映画の内容は、やはりぜひ観ていただきたいので説明はここでは控え、個人的な感想を記します。
憲法の成り立ち、憲法とともに歩んできた戦後日本の歴史、そして憲法の各条文がどんなに密接に私たち自身の存在と結びついているのかを多くの方のインタビューによって実感させられました。
そう、私にとって憲法はまだまだ文字情報の域を出ていませんでした。
色々調べて読んだり聞いたりしても、しょせん頭の中だけにとどまっていたように思います。
それが映画を観ている間に、私の中で憲法の一つ一つの条文に生命が宿っていきました。
憲法は私たち一人一人の生命のあり方、そういう実感が体におりていく感覚。
初めて、憲法について少しわかり始めた気がしました。
映画を観たあとに残る不思議な幸福感。
きっとそれは、憲法が私たち一人一人の個人の幸せを追求しているということに触れられたからかもしれません。
そう、この映画「不思議なクニの憲法」は、憲法改正せよ!でも反対!でもなく、
一方的に考えを押し付けることはせずに、色々な意見を一見淡々と紹介しながら、観ている人が自分で感じ、考えるようにさせてくれる映画なのです。
当たり前ですが人によって感じることはちがうでしょう。私自身は、憲法が実はどれだけ一人一人、個人の中に息づいているか、そして当たり前すぎて気付かなかったことに気付かせてもらいました。
上映後、監督とお客さんとの間で密度の濃い対話が行われました。その中で、私にとって一番印象的だったのは、20歳の若者の次の言葉です。(うろ覚えなので多少ちがっているかもしれませんがご容赦ください。)
「今まで選挙権をもらっても投票にも行かなかったし、政治にも関心もありませんでした。憲法の前文は小学校のときにまったくわけのわからないまま暗誦させられましたが、今日この映画を観て初めて、憲法の意味と大切さを知りました。これから、もっと政治について調べて考えて、選挙権を行使したいと思います。」
会場からは大きな拍手が沸き起こりました。
それは、まさに監督が願ったことそのものでした。
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過去の作品で長年にわたって各地で自主上映会を重ね、 全国にたくさんのサポーターを持つ松井久子監督の、 「憲法の未来は私たちが決める」との呼びかけからスタートして約一年。 今回もまた日本中の市民たちから寄せられた募金によって 映画の完成にこぎつけることができました。 「日本国憲法」を手にして70年—。 その間当たり前のように平和を享受してきた私たちに、 今こそ国の未来を選択する時がやってきました。 経済的には世界三位の大国ながら、アメリカ追随一辺倒で 独立国の主体性について考えてこなかった国家(政治家と官僚たち)も、 権力におもねるばかりの大手メディアも、 そして、無関心をきめ込んでいっこうに動こうとしない国民も、 この日本はすべてが世界でも稀にみるほど不思議な国。 松井監督は「ちょっとした皮肉をこめて、 タイトルを『不思議なクニの憲法』とした」と言います。 この映画を観ることで憲法問題が「自分ごと」となり、 観客の手でひろげられていくことを願っています。
映画「不思議なクニの憲法」ホームページより
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残念ながら今回観られなかった方もぜひ、自主上映会を開催して観てください。
願わくばドイツ、のみならず欧州各地で上映会が催され、広がっていきますように。
全国から続々上映会開催の申し込みが届いています。
参加者10名以上の自主上映会募集をこのまま続けます。お蔭さまで、5月頭から始まった『不思議なクニの憲法』の自主上映会が全国で活発に開催され、多くの人びとから「自分の地域の人々に、もっとこの映画を見てもらいたい」との声が寄せられています。
憲法について、主権者である国民のあいだにさらに議論をひろげるために、参院選が終わった後もこのまま各地での自主上映会募集を続けることにしました。
劇場上映があった地域でも、映画館上映が終われば自主上映会を開催して頂くことができます。
自分の家にお友達を集めたミニ上映会でも、会議室を借りての上映でも、仲間と一緒に映画を観て憲法について語り合う機会を持ってください。
上映会の開催も日本の未来を決めるための大切な運動の一環です。
主権者である国民の間に憲法についての関心と知識が広がるよう、皆様のご協力で積極的な上映運動が展開されることを願っています。
注意事項をお読みの上、お申し込みをお願いします。
今回デュッセルドルフでの上映は海外初上映でした。
お住まいの地域、海外の方でもぜひ、申し込んでみてください。
ASOBO!山片重信
そうですか・・・・。ドイツ人が多かったというのはへえ・・・という感じ。