前回の、「通訳という、素晴らしいお仕事 1」の続きです…
とにかくそういう複雑な物をいくつも集めて有名メーカーが満足するレベルで動くようにしてしまうのですからとんでもないことです。しかも自動車産業。車は命を運ぶので、自動車産業ではとんでもなくシビアな製品信頼性、とんでもなく低い不良率を求められます。
日本には実はそういう「山椒は小粒でもピリリと辛い」という世界レベルでも優れた会社が数多く存在します。特に東京の大田区と東大阪に集まっていますが、全国にも散らばっています。お客さんがNASAであったり、痛くなくなった注射針などは有名です。
興味深いのは、そういうスグレ会社が多いだけではなく、日本の企業の歴史の古さです。日本には、大から小(零細)まで約600万社あるそうです(2015年春)が、その内100年以上続く老舗企業が約15.200社、200年以上続いている会社が3千社あるそうです。そして5百年以上続いてきた会社が124社。千年以上というのも19社あるそうで、日本の企業の長寿力は世界でも群を抜きます。
韓国の中央銀行である韓国銀行の2008年の報告書によると、2百年以上の老舗企業は世界41ヶ国で5.586社が確認されていて、その内日本企業は3.146社(全体の56%)でダントツです。
第2位はドイツで837社、3位オランダ222社、4位フランス196社、5位アメリカ14社、6位中国9社です。ちなみに韓国は0社。
参考、出典: 月刊誌致知2015年2月号および4月号
いずれにしても世界一でしかもダントツ。でもそのお話はここでは余談なので別な時に(笑)。
さてやっと本題の「通訳の醍醐味」に辿り着きますが(笑)、通訳をしていると、そう言った産業の技術の粋に直に触れることができます。
収入は大したことはなくても、物理や物作り好きには堪えられません。
「コイツは何でそんなことを聞いてくるのか?」 と不思議がられてはしても、邪魔をしない程度なら色々と聞き放題の知り放題(笑)。
またひとつ、ふたつと賢くなって(?)しまいます(笑)。
ちなみに通訳のお仕事で最も大事なことは、
① 話し手が言っている言葉を聞き手に訳すことではありません(?)。
② 話し手が言いたいことを聞き手に理解してもらうことです。
でもその違いを理解していない通訳が多くいます。
その多さは、全てのプロを対象にすれば、むしろそちらの方がマジョリティーかも知れません。
お金を貰う以上は誰でもプロなので、そこにはアルバイトの通訳も含まれます。
さて、①と②の違いは何でしょうか?
実はそれはコミュニケーションの核心なのです。
コミュニケーションにとって重要となるのはその質の高さです。
英語などの外国語での会話に限らず、同じ日本人同士の間での日本語のやりとりでも、世代や育った環境、家庭、教育、経験や体験、本人の好みや興味、趣味などの違いがあるので、ひとりの人間が思ったことを別の相手に伝えて、それを完璧に分かってもらうというのは本当は至難の技なのです。
情報の発信者がその思いを本当に100%正しく表現できたかどうかから始まり、仮に表現・送信がパーフェクトであったとしても、今度は相手がそれを聞き間違い、読み間違いなどなくパーフェクトに受信してくれたかどうか分かりません。
もし仮に送受信が理屈上パーフェクトでも、送信者と受信者では考え方が違います。
つまり送信者が思った通りに受信者に理解してもらえるかどうかは分かりません。
理解の仕方は十人十色です。それゆえに、言った、言わない、聞いた、聞いていない、の誤解のトラブルは世の常です。
面白いのは、発信者が必ずしも自分の言いたいことを言わないことがあることです。意図してのこともあれば、言ってから「しまった!」 の時もあります。
つまり、デキる通訳者とは両者の機微の領域にまで入り、必要と思われれば両者とその都度確認を行います。よって、デキる通訳とそうでもない通訳では、通訳に時間のかかるシーンが違ったりします(笑)。
コミュニケーションとはそれほど奥が深く、ロビンソン・クルーソーになどは誰もなれないから、それは人間にとって空気と水、食料の次に来るくらいの大事なもの。
そして通訳のお仕事は、毎回違う業界の違う会社。
しかもスグレ会社。
毎回がチャレンジの連続です。
こんな素晴らしい大事なお仕事、ちょっとやめられません(笑)。
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川崎英一郎
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