日本には何でもあるのでとても便利なのですが、ドイツと比べるとそれはむしろ物が溢れ過ぎているという感じがします。
以前のアメリカほどではないでしょうが、これでもか、これでもかと、大量消費に傾いている気がします。
その点、日本人がドイツに住むと不便でしょうがないほど物がありません。日本にあってドイツに無いものがかなりあります。良く言えば質素です。
日本で、「これはいい!ドイツにあったら絶対便利だ!きっと売れる!」と思って持ってきたものをいくつも売ってみましたが、ことごとく売れず、勝率は見事にゼロ。
営業責任者なら首がいくつあっても足りないところです。逆にドイツにあって日本にないものは少ないので、それなら売れるのではないかと思いきや、それもダメのようです。
ドイツに当たり前のようにあって、こんな良い物がなぜ日本にはないのだろうかと思う物の一つが、小さな子ども用の、ペダルも補助輪もない自転車です。
両足で地面を蹴って進むのですが、慣れると勢いをつけて大きく蹴った後に、その勢いでしばらく進むので、バランスを取る練習になります。
そうなんです、ドイツには小さな子ども用、補助輪付きの自転車は無いのです。
補助輪のない自転車の後ろを大人が押さえ、倒れないようにくっ付いて走る姿というのを見かけません。
調べてみると、そういう自転車を作っているドイツのメーカー、既に日本にも進出しており、日本語のウェブサイトも用意されています。
なぜ売れないのでしょうか。
単なる習慣の違いでしょうか。ドイツ人は、幼児の時から補助輪もペダルもない自転車に乗るので、自然に自転車のバランス感覚を身につけてしまいます。
よって、ペダル付きの普通の自転車に乗り換えた時に、何の問題もなくすぐに乗れてしまいます。
でも日本に商品があふれかえっている状況は、観光に来るドイツ人にとっては魅力的なことのようです。お土産を選ぶのが楽しいそうです。
そう言えばもう30年近くも前のお話。アメリカでも成功した任天堂がドイツにもやって来ました。
任天堂のテレビゲームです。たまたま友人の1人がドイツ大手の広告代理店GREYに務めていて、任天堂の依頼を引き受けたチームメンバーの1人でした。
最初のミーティングで、任天堂側のスタッフが帰った後、GREY側のスタッフは、「これは売れないよな〜」と話し合っていたそうです。
結果は予想に反して、ドイツでも大ヒット。子供たちの遊びを一変してしまいました。
この質素なドイツでもです。恐ろしや、日本のアニメとゲームの威力。
フランスに渡った友人(大学教授)も小さい子ども二人を連れて留学しましたが「任天堂」のゲームを学校に持って行って、取り合いとなり、大喧嘩となり、フランス語を覚え始めたそうです(笑)なんでもある国には、足りないものも多くあります。安全だと思われている日本でも家族内殺人と自殺はやみそうもない・・・と言った現実。
任天堂の社長さんは、先日なくなりました。北海道出身の自称「オタク」。57歳の死は若すぎます。
アメリカ、英国などから追悼が相次いでいるそうです。
子ども用自転車の地面を蹴って進むものはキュリー夫妻が開発したそうですよ。
二台仲良く並んで、「車ない時代」のヨーロッパ一周の新婚旅行にいったそうです。
ほんとですね、日本にもあったらいいのに。この自転車。