1. モーゼル観光ワイン体験ガイド
筆者はドイツでも珍しい肩書をもっています・・・
「モーゼル観光ワイン体験ガイド」という長い名称です。
このブログでは、お酒をほとんど飲まない私がいかにしてこの肩書を得るようになったのか、そしてワインと深い結びつきのある幅広いモーゼルの魅力について、シリーズとして記してみたいと思います。
ライン川の支流、モーゼル川一帯は、川を挟んで両岸の山肌にブドウ畑が一面に広がり、ドイツ屈指のワイン生産地となっています。産業といえばワイン醸造以外はほとんど取るに足りないものばかりで、一時的なワインブームを除いて、伝統的に貧しい地域です。
しかしながら、ワイン産業以外に自然と歴史をテーマとする観光が盛んで、たとえば、ユネスコ世界遺産に登録されているドイツ最古の町トリーァには古代ローマ時代の遺跡が多く残り、山上のお城をひかえたコッヘムは中部ライン河畔のリューデスハイムと匹敵するワインの町として、多くの観光客を集めています。トリーァやコッヘム以外にも、田舎の雰囲気豊かなワインどころを無数に挙げることができます。
- 蛇行の多いモーゼル川一帯の自然は変化に富み、訪れる者を魅了してやみません -
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古くはローマ皇帝が、中世には神聖ローマ皇帝がそして近世にはナポレオンが訪れたり、ベートーベンやゲーテ、さらにツェペリン飛行船にも関係のある話題などもあり、このような観光資源をフルに活用して、「モーゼル観光ワイン体験ガイド」はワインばかりではないモーゼルの魅力を観光客に紹介することが主な活動となります。
歴史的にみても、モーゼル地方は2000年にわたるドイツの姿をよく観察できるところです。
古代ローマ皇帝が建設した、パリと並ぶ北ヨーロッパの首都トリーァ時代の栄華、ゲルマン民族の侵攻、支配権力が変わっても一貫した影響力を保ち続けたキリスト教の権威、貧困が続いた中世から近世、そこに若い時代を過ごした社会思想学者マルクス、そして現在の国境を超えた協力体制など、モーゼル地方に広がる歴史の軌跡をたどると、ドイツの、ひいてはヨーロッパの状況がよくわかり、日本では決して学ぶことのない、また日本の観光ガイド書には載っていない見どころや歴史と文化、さらにそれらの背景をもつ人々の生活を目のあたりに体験することができます。
次回は、お酒を受け入れてくれない体をもっている私が、どうしてワインと関わりをもつようになったのか、その奇異で突然のきっかけについて記してみましょう。