現在、ある日本企業のドイツ現地法人設立のお手伝いをしています。
本国日本では100年近くも歴史の長い一部上場企業。ヨーロッパにも、もう数十年前に進出済みです。
今回は、ドイツ以外のEU 内の国に既に進出済みであった現地法人を、ドイツへ移すプロジェクトです。
EU内での引越しとはいえ、国を超えてのことなので、今までのメンバーは残念ながらついて来れず、ドイツでは新規のスタートになります。
既存のお客様とそのビジネスに、引っ越しで支障が出ないように細心の注意が必要です。
引っ越しの目的は、ヨーロッパでのさらなる売り上げのアップ。売り上げが落ちてしまっては意味がありません。
ドイツのどこに引っ越しするかで候補にあがったのがデュッセルドルフとフランクフルト。
デュッセルドルフではそのお手伝いの候補に弊社を選んでくださり、フランクフルトでは別の会社。
結果的に今現在お手伝いをさせていただいているので、デュッセルドルフが選ばれました。
でもそれは正解ではないでしょうか。フランクフルトには金融関係の会社が集まっています。
そしてデュッセルドルフはメーカーのドイツ支社が集まっている商業の町です。しかも日本人に必要なインフラが集中して整っています。
フランクフルトだとそれが散らばって存在していますが、デュッセルドルフだと、Immermannstr. 界隈で何でも揃います。
ちなみにデュッセルドルフには日本人が6千人ほどいて、それが町の人口の約1%を占め、ドイツで最も多くの日本人が住む町です。
6千人という数は、町に住民登録をしている正式な数で、登録していない人も含めると1万人くらいはいるのではないでしょうか?
登録していないのは、最近増え続ける、いわゆるワーホリ(ワーキングホリデー)のシステムを使って来ている人たちで、旅行者的な感覚で1年だけ滞在し、必ずしも住民登録をしないようです。
町のドイツ人も多くが親日的で、滞在許可証を出してくれる外国人局も、日本人にはそれほど厳しくありません。
ビザに関しては、日本商工会議所に入会していると、取得がとてもスムーズになります。
日本商工会議所と町との関係がとても長くて良好だからです。それでなくても日本人、アメリカ人、カナダ人、オーストラリア人の4カ国の人たちはは優遇されています。
今回の現地法人設立はフルサポートで、その企業からの駐在員、出向者はまだドイツに住んでいません。
責任者他に出張ベースで時々来てもらい、法人立ち上げ進行具合を相談及び確認しながら進めています。つまり現地での要の役割です。
今回の場合は、その責任者が海外担当のトップで、グローバルビジネスに慣れているので、そういう意味では大変に楽です。
もしこれが慣れていない人だと、日本と海外の違いの説明から始めなければなりません。
それにはかなりの労力が必要とされます。素直な人ならそれでもまだいいのですが、そうでないと日本と海外との違いが出るたびにブレーキがかかります。
サポートの内容は、法人設立に必要な全ての手続きや準備のお手伝いから、その法人が実際にスタートするまでの一切合切です。
ドイツ人スタッフ採用のお手伝いもそうですが、面接にも立ちあって各応募者の実績や人柄の善し悪しでその判断をサポートします。
ドイツでは、勤めていた会社を辞める時に普通、Zeugnis という手紙をその会社の社長に書いてもらいます。
そこには、その人がその会社に勤めている間に、どんな仕事をどのようにこなしたのか、仕事には積極的だったか、仲間とは上手くやっていたかなどが書いてあります。
ネガティブに書かれたものはまずありません。普通はポジティブに書かれています。でも、いわゆる行間を読んでその会社がその人をどう評価しているかが分かります。
幸いに今回雇う予定の二人は、何と面接の一人目と二人目で決まってしまいました。Zeugnis の内容も行間も申し分ありません。
これにて最も大事な人の採用の問題も解決かと思った矢先に、二人の内の一人から急に辞退の連絡が入りました。
面接で少し背伸びをし過ぎたのか、自分には荷が重そうなので自信がなく、今回は見送りたいということです。
人柄が良さそうで、日本に滞在したこともあり日本語が上手いので、こちら側としては採用前から既に頼りにしていたような感じです。
辞退の理由を聞くと、責任を持っての日本の本社との連絡のやり取りなどに自信がないことが分かりました。
それはこちらも特に求めているわけではなかったので、その責任の重さを外す説明をしたところ、2度目の面接(?) に来てくれました。
そして色々と話し合う中で、そういう事情で辞退するということ自体が彼女の責任感の強さと、その人柄を見込めます。
勿論入社してもらうということになりました。
もう1人のドイツ人も、とても気さくで、会社のスタートに必要な事務所の什器備品等の調達準備まで手伝ってくれました。
組織で最も大事な人の問題。それが今回スムーズに上手くいき、幸先の良い現法設立準備スタートです。
EK
面接と言うよりは、理由をよく説明し、お願いしてもう一度来てもらいました。縁を無理やり作ってしまったでしょうか(笑)?
日本ファンのドイツ人にはそういう人たちが多いです。だからこそファンになるのかもしれません。
コメント及び励ましをありがとうございます!
二度目の面接をするなんて、とてもよい人だったのですね。一回断られたら日本では、殆どの場合縁がなかった、とされるのが普通ですから。
それにしてもそのドイツ人、とても遠慮深くてびっくり。
外国人といえば、インタビューでは、これでもか、いうくらいの自画自賛が普通と思っていました。
よい方を採用して本当によかったですね。
うまく会社がいくことを願っています。