不思議な市場・ベルリンの謎を紐解く

ベルリンに来ています。商売目線で見ると、ここは本当に不思議な街です。人の流れや消費行動が全然違うのです。

午後の3時や夜中の12時に、ケバブ屋で行列ができる街です。

旧東側中心に、この街は訪れる度に成長しています。

しかし、スーツで歩いている人がほとんどいません。一体みんな、どうやって生計をたてているのでしょう? ミッテ(Mitte)地域のカッコいいブティックやレストランの顧客は、一体どういう人たちなのでしょう? 更には、この成長の原動力は何なのでしょうか? 疑問は絶えません。

学生の街だから?

そんなことはありません。ベルリンには芸大(UdK)を含めた五大学に10万人の学生がおり、その他の学校(Hochschule など)を含めれば14−16万人が学んでいるとされていますが、人口が5分の1のフランクフルトにはゲーテ大学と医大を合わせて5万人近くの学生がいます(更にダルムシュタットの工科大学には25000人も)。ミュンヘンも総合大学と工科大学を合わせて10万人いるそうですから、ベルリンはむしろ学生が少ないぐらいなのです。芸大と芸術系 Hochschule 4校の存在感がありますが、学生数は合わせて6000人しかないようです。

ただし、「若者の街」というのは当たっています。統計によれば、ハンブルグに次いで平均年齢は低く(42.8歳)、「高齢者比率」は全州で最低です。(出所はこちらの28ページ)

(注)本稿では人口の前提として、ベルリン340万人、ハンブルグ170万人、ミュンヘン140万人、フランクフルト70万人という数字を使っています。都市圏人口にすれば数字は2−3倍に増えますが、議論の大筋に影響はないので、一般の都市人口を使います。

観光客や出張者が多い?

たしかに、街で英語を耳にすることがとても多いのもベルリンの特徴です。観光資源が豊富なことは疑いがありませんし、国際会議が増えているという話もよく耳にします。ホテルの新設もよく目にします。

しかし、以下の2005−2013年の宿泊者数のグラフ(元資料はこちらの4ページ目)を見ると、ベルリンは成長中であるものの、フランクフルトの3倍、ハンブルグとミュンヘンの2倍をやっと超えたところで、人口に対する比率という意味では、まだ決して多くはありません。ようやく他の主要都市並みのところまで追いついただけで、主都としての面目躍如ができるかは、ベルリンの壁崩壊から25年経った今、これからの勝負です。

Ohne Titel

失業者の街?

それは事実で、ベルリンの失業率は 10.7% と、ブレーメンと並んで連邦で1位(西側の産業地域各州は5%かそれ以下)。Hartz IV こと最低失業給付の受給者率はダントツ1位です(こちらの資料の 277 ページ)。ベルリンが「ほかの州に食わせてもらっている」と言われるのには、政治が税収で運営されているだけでなく、このような背景もあります。

しかし、人口の1割分程度の違いで、ここまで人の流れや消費行動に違いが出るとは思えません。ほかに秘密があります。

それは、「大企業がない」「自営業者の街である」ということです。

ベルリンで最大の雇用主はドイチェ・バーン(ドイツ鉄道)だそうです。19000人がベルリンで働いているとされています。2−4位が Vivantes という医療機関、ジーメンス、医大で、それぞれ14000人。5位はベルリンの市内交通(BVG)で13000人。6位以下には、テレコムやポスト、おなじみのスーパーやパン屋、銀行が並びますが、10000人を上回る企業はありません。(こちらの資料の27ページ)

これをフランクフルトのあるヘッセン州と比較しますと、1位のルフトハンザの37000人をはじめ、ドイチェ・バーンが25000人、フラポート(空港)が20000人など、大企業による雇用の規模に大きな差があることが分かります。また、13位のドイチェ・バンクでも10000人以上です。(こちらの10ページ)

ベルリンには政治と交通、観光しか産業がないのです。気になったので、(私の趣味の)剣道のクラブやレストランで隣に座った人たちに、変人に思われない範囲で(笑)、職業を聞いて回りました。すると、弁護士や医者もいるのですが、通訳やメッセのIT担当者、プログラマーやDJ など、ベルリンならでは職業像が浮かんできました。彼らが若くてポップなベルリンを作っているのです。

さて、ベルリンの未来ですが、企業が新たに本拠を移してくることもないでしょう。ECB の更なる金融緩和による地価の更なる上昇や、新空港オープン(2018年の予定に変わったらしい)と2024年のオリンピック誘致合戦などの目玉はありますが、基幹産業がない構造が変わるようには思えません。

しかし、敗戦後の東西分裂を経ての「遅咲きの主都」が、更に人のトラフィックを増やし成長して行くことは疑いないようです。「補助金に頼らない村おこし」で知られる岩手県紫波町のオガール・プロジェクトでは、「非商業ベースでも人が集まれば飲食店や小売店が増えて、街の価値は上がる」と言われています。ベルリンの成長も同じことではないかと思います。

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文: 黒須寛之   Wakyo Europe – Market Expansion Management & Advisory

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不思議な市場・ベルリンの謎を紐解く」への3件のコメント
  1. […] 「不思議な市場・ベルリンの謎を紐解く」で自分なりにベルリンを解剖してみましたが、今回は観光旅行ではあきたらない方に、見ていただきたい地域をまとめさせてもらいました。 […]

  2. […] 「不思議な市場・ベルリンの謎を紐解く」で自分なりにベルリンを解剖してみましたが、今回は観光旅行ではあきたらない方に、見ていただきたい地域をまとめてみました。 […]

  3. […] もちろん、街自体の若さや自由さもあります(詳しくは「不思議な市場・ベルリンの謎を紐解く」ご参照のこと)。 […]

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