タッパーウェアに詰められた私

便利でスピード感溢れる次代は何も情報網だけのことに限らず、病院でもそうだった。
入院4日間した。
開腹手術は今はがんや余程の重病でない限りしないそうだ。メカと穴を開けてやる全身麻酔が主流。19センチもあった私の筋腫は少し術前注射で小さくはしたが、それでも腹腔鏡膜下手術という簡単な方法であった。

スクリューのようなもので腹に穴を4つほど開け、そこに炭酸ガスを入れ、腹を膨らませメカで粉砕した筋腫をひきずり出す・・・という方法が一般的。
隣のベッドの人はその説明を聞いて過呼吸発作を起こして倒れたと聞いた。腹に高速スクリュー、炭酸ガスを入れて・・・の医師の説明に、とんでもないことが自分の身に起ころうとしていると思い込んで倒れたのだ。ちなみに彼女は38歳、筋腫手術だったが子どもが二人いる。

医師は絶対安全だとは言わない、けれど全身麻酔の成功率は日本は世界のトップ、アメリカの10倍の高さで、一千万件に2例ほど事故があるかないかで、ちなみに昨年はゼロでした、という説明がある。しかし入院している者にとっては、その二例が自分の身に起こってくるという恐怖がある。なにせ周りは病人ばかりなのだから。
過呼吸を起こして倒れてしまうのも無理はない。

4日の入院程度とはいえ、20枚くらいのドキュメントにサイン、サインを求められ、麻酔ベッドの上にまで「すいません、一個サインを貰い忘れてまして」と看護師に言われまぶしい手術ライトの下にボールペンを持って来られてまたサイン。緊張しているせいか、ろくろく内容を読みもしなかった。
「死亡しても当病院は責任を持ちません」という内容だったらヤバかった。

手術はあっと言う間に終わった。私の感じでは20分、麻酔は1秒くらいで後はまるで覚えていない。実際には2時間半くらいかかったそうだ。
乗り物酔い、高血圧、アレルギー体質の人は麻酔に弱い。吐きやすい。私もそれは事前に告げていたので看護師から、「(嘔吐用)容器を用意しておきます」と言われた。
名を呼びかけられて麻酔から目覚めた途端「ゲロ吐きそ」の私の第一声に、すばやく用意されたバケツ。前日からの水分栄養の食事ばかりで、吐くものすらないのが苦しい。
夜中を通じて7回も吐いたと思う。水分ばかり、胃液ばかり。
ゲロゲロやっている最中に外来で私を担当していた医師がくる。どうでもいいことだがこの人の頭はアトムのお茶の水博士の頭とそっくりだ。博士の手にはタッパーウェア。
私が、お手製のふりかけを作って冷蔵庫にストックしているものだ。それと同じ容器に入れて、鳥の手羽みたいなにょろにょろした肉の塊を持ってきた。私のタッパーウェアは少し小さめだが全く同じものだ。これもドイツ製かな?麻酔に酔いながらそんなことを考えていた。血の色ひとつない。これが筋腫なのか?まさしく鳥の手羽そっくり。
でも、こんな容器に詰めて持ってくるなんて病院というのもデリカシーのないところだなあ、料理の容器なんてさ……と思いながら医師に向かって
「気持ちわるうー、それ」と言ったような気がする。その後でまた吐く。

次の日、向かいのベッドからオバさんが声をかけてきた。「嘔吐用バケツを大事なものでも、あるかのように抱え込んで離さなかったわねえ」あったり前だ。他人様のベッドをゲロで汚すほど女廃れておりません。二日後には退院させられた。

佐藤 庸子

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カテゴリー: 医療と健康

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