漢字の国の名前

私の本名は「ゆかり」という。ひらがなのゆかり、である。私はこのひらがなの「ゆかり」さんに今までの人生、会ったことがない。高校の同じ教室では「ゆかり」が三人いた。まだまだ女子の名前に「子」をつけた人が多い中、「ゆかり」は希少であったが二人とも漢字であった。「由香里」「由佳里」。

職場でも三人いた。「緑」「由加里」。ヤマハで音楽を勉強している時の先生は「紫」であった。緑を「みどり」と呼ばず、紫を「むらさき」と呼ばず「ゆかり」と呼ぶことの難解さ。けれども辞書には「ゆかり」と、ちゃんとある。人名は難しい。

私の名付け親である叔母は、「縁」と書いてゆかりと名づけたかったようであるが、画数が悪いとかで、ひらがなになった。

これでなんの不自由もなく生きてきたわけだ。ドイツにいた時も、呼び方が簡単なせいか、間違えずに一発で覚えて貰った。

これを「変えろ」という事態を迎えたのは二年前。中国語を習い始めたときだった。

教室の入学式に行くと、私の下の名前がない。すると教室担当者は「ひらがな」は中国語にないので、漢字を当てるか、音を当てるかして、変えてほしい。と言う。

まさか同じ漢字を使う国からこんな問題をつきつけられようとは。

仕方ない「縁」と名づけられる予定だったのだから名前の空欄に「縁」と書いた。缘と中国式漢字に変えられて。なんだか自分が自分ではないみたいに複雑な気分であった。この字Yuanと発音される。おまけに語尾が上がるのだ。中国式発音で「ユエン?」となった私、ゆかり。

テレサ・テンは中国語では「デンリージュン」全然違うけれど彼女、違和感はなかったのだろうか?

中国式の発音は難しいので、呼び名によっては自分の名前と全然違う名前を職場で呼ばれることも中国では珍しくないらしい。そんな際にも人気があるのは英語風の名前という。

「本名と呼ばれている名前と全然違うなんて結構いますよ」と先生は言う。うーん。

ドイツには生まれた日にちによって名前も付けられていて、その名前で呼ばれている人もいたし、アメリカの作家ローラ・インガルスワイルダーは夫から「ベス」と呼ばれていたが、それは洗礼名の「エリザベス」の短縮だとわかり、それはそれで納得できる。だが 中国人が呼びにくいからと勝手に自分で本名と全然違う名前をつけるなんて、なんだかいくら考えても納得できない。

呼び方が中国人同士にすら難しいものを、敢えて付けるという風習もよくわからない。

そういえば、近所に住む、中国人も結婚によってあっさり名前を変え、離婚後もその名前を使い続けている。

中山雅子(なかやままさこ)さん。

中国名の方に何の未練もない様子。

苗字だけならまだしも、同じ漢字の国に来て、自分の名前まで変えてしまうことの奇異さ。女子に多い「子」まで付けて。

私にはまるで理解が出来ない。

沙里と付け、サリーと呼ぶこと、理沙と付けリーサと呼ぶことには何の抵抗もない。漢字を書けば妙に納得するし、今風でもあるのかな、と思う。

でも、中国人がまるで人間が変わってしまったかのように、全て苗字名前までがらりと変えてしまうのは、怖いような気もする。昨今の外国人による犯罪なんかを考えてしまうし、名前を変えなきゃ、それも自分の名前をがらりと変えてしまわなければ生きて行けない、大変な事態があったに違いないとか、そんな勘繰りまでしてしまう。

私は、中国式発音でションバーンユエンと中国語教室でいわれ続けていた時には、何ヶ月経っても違和感があった。

私は中国人に聞いてみたい。

「名前をがらんと全て日本風に変えてしまって人格が変わったようなことには何の抵抗もないのですか?」と。

佐藤庸子

ブログランキングの応援クリック、
宜しくお願いいたします!
↓↓↓        ↓↓↓

にほんブログ村 海外生活ブログ デュッセルドルフ情報へ にほんブログ村 海外生活ブログ ドイツ情報へ
広告

日本人のための、ドイツの生活応援サイト

タグ:
カテゴリー: 未分類

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト /  変更 )

%s と連携中

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

  ブログランキングの応援クリック、         宜しくお願いいたします!      ↓↓↓           ↓↓↓

にほんブログ村 海外生活ブログ デュッセルドルフ情報へ
にほんブログ村 海外生活ブログ ドイツ情報へ
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。